
今日、紹介する本は渋沢栄一、守屋淳=訳 の【現代語訳 論語と算盤】です。
今回のテーマは考え方です。
本記事を読むことで『人はどう生きるべきか』『どのように振る舞うのが人として格好よいのか』普遍的であり、あなたの考え方の軸が身につくことでしょう。
渋沢栄一は日本の実業界、資本主義の制度を作った一人で、470社の設立に関わり、500以上の慈善事業にも関わっていました。
特に設立に関わった有名な企業として日本郵船、帝国ホテル、サッポロビール、JR、みずほ銀行、日経新聞、日本商工会議所、東京証券取引所などがあり、挙げ出すとキリがないです。
グローバル化が進んでいる昨今。「日本の資本主義の父」と呼ばれている渋沢栄一から、もう1度原点に戻り、「働き方」や「考え方」を学びなおすことが大事ではないでしょうか。
- 普遍的な考え方を身につけたい
- 人から信頼されたい
- 資本主義の原点を知りたい
- 道徳に基づいた経営を学びたい
- 人としてのあり方を学び人間関係をよくしたい
本書は2010年2月10日に発行された本で、元となった「論語と算盤」は1916年に刊行された本です。

本書の要点
①実業とは多くの人に物が行き渡るようにすること
多くの人に物が行き渡らなければ国が豊かにならない。
国が豊かになるためには基本的な道徳を基盤とした実業が必要であり、そうでなければ豊かさは継続しない。
②処世と信条
人のわざわいの多くは得意な時にきざしてくる
得意だからといって調子に乗ってしまうと、些細なことに気に留めなくなってしまい、足元をすくわれやすい。
「大きなこと」「些細なこと」に関わらず、同じ考えや判断軸をもつこと。
時期を待つことも大事である
広い視野をもって、気長にチャンスが来るのを待つことも時には大切。
人は平等であるべき
少し経験があるからといって威張らない。人は平等であり、礼儀や譲り合いが大事。
世の中のことは自分次第
自分からこうなりたいと本気で頑張れば、大体はその思い通りになる。
欲望のままに振る舞ってもハメを外さない
一つの感情に寄りすぎず、喜怒哀楽のバランスをとることが大事。
③立志と学問
精神の向上を富の増大とともに進めることが必要
富だけ増えても精神が伴っていなければ、その富は扱いきれずロクなことにならない。
大きな志と小さな志を持つ
大きな志とは一生貫いてやることができること。
小さな志とは大きな志を元にして、その時その時でやりたいこと。
志を持つことは人生という建築の骨組みである。
④常識と習慣
人としての常識は「智」「情」「意」の3つのバランスが大事
「智」:智恵が十分に発達していないと、物事の善悪やプラス面とマイナス面を見抜くことができない。
「情」:「智」があっても情が薄くては自分の利益を優先し利己的な行動をとってしまう。
「意」:「情」が厚くても制御できないといけない。感情に走りすぎないようにコントロールするための強い意志が必要。
人の行為の良し悪しは「志」と「振舞い」の2つの面から考える
「志」が良くても、その「振舞い」が鈍臭かったり、わがままであれば、行為が悪いと捉えられる可能性がある。
逆に「志」が曲がっていても、その「振舞い」が人から信用されるものであれば、その行為は良いと捉えられる可能性がある。
⑤仁義と富貴
高い道徳をもった人間は、自分が手に入れたいと思ったら、まず人に得をさせる
どんなに小さなことでも、最終的には廻り廻って自分や近しい人に帰ってくる。
お金はよく集めて、よく使い、社会を過発にすることが大事
ただし、守銭奴になることや、無駄に使うことには気を付ける。
⑥人格と修養
人の評価
人を評価することは難しい。評価するなら成功や失敗に関わらず、その人が社会のために尽くそうとした精神と効果とによって行われるべき。
人格を磨くためには「忠」「信」「孝悌(こうてい)」を重視する
「忠」:良心的であること
「信」:信頼されること
「孝悌」:親や年長者を敬うこと
今の世の中は人格を磨くことが失われてしまい、利益重視の方向に流れるようになっている。
今一度、人格を磨くことに重点を置く必要がある。
⑦算盤と権利
仁を実践するにあたっては師匠にも譲らない
正しい道理に進むなら、自分の主張を通しても良い
事業をするなら、その仕事が国家に必要で、自分の道理と一致する事業をするのが良い
自分の人生観や志に合い、その時代の流れに合った事業をすることで事業は継続しやすい。
⑧実業と武士道
実業にも武士道が必要
「正義」:皆が認めた正しさ
「廉直」:心が綺麗でまっすぐ
「義侠」:弱気を助ける心意気
「敢為」:困難に負けない意志
「礼譲」:礼儀と譲り合い
会社を興したり、労働をしたりする理由が利益のためだけなら信頼されない
信用こそが全ての元であり、1つの信用でも大きな力となる。
⑨運命
礼儀正しく、人を敬い、人を信頼する
これら3つの態度で日々臨み、やることをやって運命を待つ。
一読のすすめ
本書は1916年に刊行された「論語と算盤」を元に現代語訳された、かなり古い物です。
しかし、今なお人気であり、多くの実用書のベースになっているであろう普遍的な内容ばかりで、学ぶことが多い本です。
ぜひ表面的な部分だけでなく、深いところまで読み進め、自分なりの解釈や軸を見つけていただきたい。